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HSK対策 傾向と対策(初中等)

HSKとは、中国の教育部(日本の文部科学省に相当)が設けた「漢語水平考試(Hanyu Shuiping Kaoshi)の頭文字の略称で中国語を母国語としない中国語学習者のための唯一、公認の中国語能力認定標準化試験です。試験は年に春季・秋季・冬季試験の3回があります。HSKは、基礎漢語水平考試、初中等漢語水平考試と高等漢語水平考試からなっていて、受験者が同一の試験問題に取り組み、受験者の得点(スコア)をそれぞれの等級(基礎1級~3級、初中級3級~8級、高等9級から11級)に換算し(数字の大きいほうが上級)、既定の等級に達すれば、中国国家漢語水平考試委員会より「漢語水平証書(HSK証書)が授与されます。
HSKはヒアリング問題(听力理解)、文法問題(语法结构),閲読問題(阅读理解)、総合穴埋め問題(综合填空)4項目に分かれます。さらにその一つ一つの項目が2つから3つに分かれています。それぞれ順番に解説します。

1.ヒアリング問題(50題 約35分間)

1分間に170~220字という、ネイティブが普通に話す速さの中国語を聞き取ります。問題および質問は1度しか読まれません。解答方法はABCDの4択で、いずれも最もふさわしい解答を1つ選択して、マークシート方式で解答します。解答のための所要時間は1題につき15秒~20秒と指定されています。

第一部分(15題)
一人が短い文を話します。その内容について、もう一人が1つ質問をします。
【解答のポイント】
まず落ち着きましょう。最初の問題ですので緊張せずにリラックスして集中してください。第一部分は一つ一つの問題が短いので、集中できないとあっという間に2,3問終わってしまうこともあり得ます。こうした状況を回避するために、試験問題を開いたら、少なくとも次の1題分の選択肢に目を通しておきましょう。2問目以降もできるだけ先に選択肢を見ておくべきです。これは質問される内容のヒントにもなりますし、問題文自体の聞き取りの手がかりにもなります。第一部分は短い発話なので、ヒアリングにはしばしば文法的知識を必要とします。ただし、解答は発話の中に必ず含まれていますから、選択肢を参考に、注意して聞いてください。

第二部分(20題)
男女二人が短い会話をします。その内容について、もう一人が1つ質問をします。やはり先に選択肢に目を通しましょう。集中力も持続させて下さい。また会話は、会話の背景、場面が重要です。場面や背景の推測にはやはり選択肢が参考になります。

第三部分(15題)
男女二人による比較的長い会話あるいは1人による比較的長い文章が聞こえます。その内容について2、3問の質問をします。
【解答のポイント】
事前に選択肢を見た上で、ヒアリングの邪魔にならない程度にメモをとってもいいと思います。書く動作というのは聞くのより遅いので、書くことばかりに気をとられると、聞き逃すことのほうが多くなってしまいます。情報量と語彙量がかなり増えますので、初級レベルの受験者は第一部分・第二部分で正解を多く出せるよう努めてください。

<<ヒアリング問題全般のポイント】>>
いずれの問題も、できるだけ事前に選択肢を見ておきます。選択肢に提示されている単語を事前に確認することは、内容理解に大いに役に立ちます。以下に選択肢の活用法を挙げてみます。

①事前に人名を知る
人名は、知らなければ聞き取りは大変に困難です。もし選択肢に人名があるならば、先に見ておくことで、人名を別の単語に取り違えたり、せずにすみます。地名でも同じことが言えます。
②問題文中に登場する単語を知る
例えば4つの選択肢がそれぞれ4種類の果物である場合、問題中には選択肢の果物を含んだ複数の単語が並列して登場します。質問は、その中の1つを選択させるものであったり、あるいは問題中に登場しなかったものを指摘させるものだったりします。選択肢を事前に見ておくことで、特に文中に登場しなかったものを指摘する際には記憶の助けとなるはずです。
例:今天的早餐很丰富,有面包,牛奶,黄油,香蕉,我吃了不少。
问:说话人没提到那种食物?
A牛奶 B草莓酱 C黄油 D香蕉
この問題で注意したいのは、物品は選択肢に取り上げられているとき、問題となる発話においては、その単位となる量詞だけが登場し、具体的な物品は言われないということです。例えば“我要这条”という発話があり、選択肢に“鸡”“牛肉”“ 鱼”“ 虾”4つが用意されているとします。“说话的人要买什么?”と質問されたら、“ 条”という量詞を使う“ 鱼”が正しい解答であるというような場合です。
③質問の予想が可能になる
時間を問う問題や、発話されている場所、発話者の職業、人間関係(親族か友人かなど)、数量などは、選択肢を見れば先に質問が予想できます。
人間関係を問う問題では、呼称が解答のポイントになる場合も多くあります。親族、特に父方、母方の祖父母やおじ、おばなど、遠い親戚関係は必要ありませんが、ある程度知識を持っておきましょう。
④話者の気持ちを知る
③と同様、質問を予測することにもつながりますが、選択肢に気持ちを表す語彙が並ぶ場合、話者の発話における気持ちを尋ねる問題となります。
選択肢の例:“建议”“赞赏”“反对”“犹豫”
⑤出題の意図を探る
特に反語表現を用いて発話されていると、往々にして単純な疑問文と混同することがあります。そうした混同を利用して、選択肢に、反語が本当に意図する内容と、疑問詞を用いた疑問文がともに提示されていることがよくあります。反語は表面上表されている形が肯定形なら言いたいことは否定の意味、表面上の形が否定形なら言いたいことは肯定の意味になります。
選択肢を事前に見てから問題に臨むためには、解答時間内に少しでも早くマークを終了して、次の選択肢を見るだけの時間の余裕を持たせることが必要です。これは、テスト準備の学習の段階で模擬問題集を利用して習慣付けしまいましょう。模擬問題集のCDは、本番のテスト同様15~20秒の解答時間を設定して編集されています。それを利用して解答時間を把握しましょう。その際、解答は模擬問題集の選択肢を○で囲むのではなく、別の用紙に書くようにしてみましょう。これはマークシート方式の練習になります。マークシートは一度問題用紙から目を離して該当の欄を塗りつぶすので、意外に時間がかかります。
事前の学習としては、模擬問題で問題の解き方に習熟することのほか、次のようなことも整理しておきましょう。
《文法》
副詞の用法、複文、反語文、緊縮文、補語(特に可能補語)、量詞、比較表現、疑問詞を使った疑問文以外の表現、二重否定など
《口語表現、固定表現》
慣用語、成語、一般的に中国人がよく使うフレーズや比喩表現など。
*よく出る口語表現、慣用表現、フレーズ
不见不散, 不像话,不要紧,不在乎,不在意,胡说,可不是,没办法,没关系,没什么,没说的,没完没了,没问题,没戏,没意思,没准儿,算了,随便,瞎说,一言为定,有的是,无论如何,无所谓 糟糕

ヒアリングに関していつも問題になるのが「速さ」と語彙量です。「速さ」は慣れることが肝心です。ただ、速くて難しい文や文章を漠然と繰り返し聞くだけでは、聞き取れるようにはなりませんので、聞いて分からない場合は、問題文に一度目を通して内容を理解した上で、もう一度聞いてみてください。聞きながら書き取りをするのも有効です。聞き取ったら、正しい原文と照らし合わせ、最後に口頭で、テープを追って復唱してみてください。ヒアリングは知っている語彙量や文法知識の集大成ですので、こうした学習法で知らない単語や言い回しを確認し、記憶して、定着させて下さい。「一度聞く→見て理解する→見ないでまた聞く→書き取る→復唱しながら聞く」を1セットとして、日替わりでメニューを変え、1週間後にまた同じ内容を聞いてみるのもいいと思います。 2.文法問題(30題 約20分間)

自分で時間をコントロールしながら解答していきます。1題を30~40秒で解答していきます。やはり4択でマークシート方式です。

第一部分(10題)
各問題文の下に1つ、語句が指定されています。問題文中にはA,B,C,D4つの位置が示されています。意味上さらに文法のルール上、正しいと思われる位置に指示語句を入れます。
【第一部分のポイント】
副詞、助詞、介詞、複文の使い方、語順は、しっかり整理しておいてください。第一部分では主に虚詞について出題されます。特に、下記は必須事項です。
○ 概数を表す“多”“来”の使い方
○ “了”“着”“过”の位置。ただし“着”は“zhe”“ zhao”のように読み方が変わると品詞が異なるので、文意を考えること
○ “得”は“de”“ dei”“ de”と3種類の読む方があり、それぞれ品詞が異なるので注意すること
○ “睡觉”のような離合詞と“了”“着”“过”や補語との位置関係
○ “把”構文や“被”構文と否定副詞、能願動詞との位置関係
○ “的”の用法

第1部分は基本的文法事項を復習しておくとかなり有利です。ここで高得点を目指しましょう。

第二部分(20題)
各問題文の下にA,B,C,D4つの選択肢があり、問題文中には1つないし2つの空欄があります。空欄に最もふさわしい語句を選びます。
【第二部分のポイント】
第一部分と共通する事項以外に以下のことを整理しましょう
○ いくつかの似た用法の介詞、例えば“为”“给”“替”“对”“往”“向”“朝”“从”“离” “到” などの介詞の用法は、その意味によりグループに分けることができるので、それぞれ異なるグループの区別やグループ内の特徴、使い分けに気を付けて下さい
○ “一点儿”“有点儿”の用法の区別
○ 量詞
○ 語順:連動文や時量補語、動量補語を含む文、比較文など比較的複雑な文の語順。また、複雑な定語(名詞成分を修飾する語)の語順
○ 複文と接続詞の用法
○ 方位詞。特に“在・・・上”“在・・・下”などのようなもの
○ 方向補語、複合方向補語、可能補語の基本的な用法と派生的な用法
○ “吗”“呢”“吧”“的”“了”など、文末に置く助詞の用法
○ 形容詞の重ね型。特に2音節形容詞

いずれにしても、混同しやすい用法について、正確に使用できるかどうかを問われます。
介詞や補語は動詞との組み合わせが密接です。文法項目を一つ一つ整理するほかに、適当な例文をそのまま記憶してしまうと、用法が身に付きます。また文法の整は総合穴埋めにも応用できます。

3.閲読問題(50題 約60分間)

語彙力と讀解力をテストします。問題量が最も多く、時間もいちばん長いテストです。4択でマークシート方式です。

第一部分(20題)
各問題に1つ、文が用意されています。文中に1ヵ所下線が引かれている語句があるので、用意されている選択肢から下線の語句と最も意味の近いものを1つ選びます。後半の読解力部分に時間を割きたいので、1題30秒くらいで解答します。
【第一部分のポイント】
一般的な語句は漢字からその意味を判断しやすいので、まだ学習していない語句も文意をよく理解した上で推測して答えることが可能です。注意を要するのは、複数の意味を持つ語句が問題となっている際にその複数の意味がすべて選択肢に挙げられている場合です。要求は文意に最も合ったものを選ぶのですから、文意をよく理解することが大切です。推測が難しいのは慣用表現や成語です。語彙量は学習時間と比例しますので、学習暦が浅い受験者は知らない語彙にたくさんぶつかると思いますので、模擬問題などで学習するのがよいでしょう。

第二部分(30題)
各問題には短文、比較的長い文章などが用意されています。その内容について1~3題程度の質問が用意されていますので、最も合った選択肢を1つ解答します。
【第二部分のポイント】
質問には主に以下のような内容が準備されています。
○ 文章の大意、意図の把握:文章の主題、論点を読み取る
○ 文章中の情報の理解:主題や論点を展開するための根拠となる事実や説明部分を読み取る
○ 文章中の細部への理解:専門的内容や具体的な例を提示した部分を本文に基づいて正しく読み取る
○ 文章に基づいた拡大理解と判断:問題文から推測可能な内容を判断する
○ 作家の態度や気持ちの理解:文中に直接書かれているとは限らないが、文中の語句や文の形式などから作家の態度、気持ちを読み取る。閲読する問題文の材料は主に2種類あります
○ 科学的内容(生物、考古学、電子など)
○ 社会的論評

第二部分はあまり複雑に考えすぎないことがポイントです。つまり、自分の知識や専門から勝手に判断せず、文中の内容、作家の観点から解答を判断すべきです。問題文中には必ずキーワード、キーセンテンスがあります。そのためには問題に臨む際に、まず質問に目を通して下さい。質問部分を先に見ておくことで、問題文を読みながら、求める解答を探していくことができます。問題文を読んでから質問に答えようとすると、また問題文を読み返すことになり、時間を無駄にします。選択肢は事前に詳しく見る必要はないと思います。
注意すべき点は、文中の表現と選択肢の表現の相違点です。特に副詞などの細かい部分で微妙に文意に合わない選択肢を用意していることがありますので、選択肢もよく読んで解答しましょう。

4.総合穴埋め(40題 約30分間)

文法、語彙力、読解力など総合的な中国語の運用能力と漢字の書き取り能力をテストします。

第一部分(24題)
短文が用意されており、文中に幾つかの空欄があります。その空欄に適当な語句を選択肢から1つ選びます。4択でマークシート方式です。
【第一部分のポイント】
この部分の問題は文法的な要素も多分に含んでいますが、以下のような点にテストの重点が置かれています。
○ 語と語のつながり、文の前後のつながり:介詞と動詞、動詞と目的語、複文と接続詞など、自然な語と語の組み合わせ。
○ 似通った意味の単語の使い分け:2音節からなる単語の1文字が同じ漢字(例:心情,心愿,心理,心得)や、意味似たもの( 明白,了解,理解,认识)などの使い分け。主に実詞(動詞、形容詞)において
○ 代詞の使い方

総合というだけあって、広く中国語の運用能力が問われています。上記以外にも名詞、副詞、方位詞、補語など、多くは実詞の用法・意味について質問が設定されています。それから文法的知識を活用して下さい。解答した後、もう一度読み返して、意味が通るどうか確認もしてみて下さい。

第二部分(16題)
通知や招待状、ポスター、メモ、広告、一般的な手紙などの文中に、漢字1文字分だけ空欄があります。適当な漢字を判断して空欄を埋めます。この部分はマークシートではなく、唯一、自分で筆記することを必要します。
【第二部分のポイント】
用意されている文章は、上記のような比較的一定の形式を持ったものであることが多いので、その種の文章における決まり文句やよく使われる表現などは覚えて下さい。
漢字の筆記に際して注意すべきことは、正しい簡体字(あるいは繁体字)を書くことです。易しく感じると思いますが、中国語の漢字が正しく書けるかどうかは、日ごろから注意が必要です。単純に漢字を書くのではなく、文意に合った、用いられるべき単語を理解した上で解答する必要がありますので、きちんと文章を読み穴埋めをした上で、もう一度読み直してみて下さい。

【その他、試験全般の注意項】
HSKは大部分がマークシート方式を採用しています。マークシートはマークすべき場所をうかっり間違いやすいので、十分に気を付けて下さい。特に、分からないからと後でマークするつもりでいると、1問とばしてしまうということがよくありますので、分からなくても、とりあえず4つのうちのどれかを塗りつぶして下さい。文法問題以降からは自分で時間をコントロールできますので、時間が余ったらそこでじっくり考えて下さい。 得点しやすい項目から順に並べると、「閲読」、「総合」「文法」「ヒアリング」という順が一般的です。多少の個人差はありますが、ヒアリングが苦手だと言う受験者はほとんどのようです。


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